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近年、口腔と全身の健康との関連について、多くの科学的根拠が示され、口腔保健の重要性に対する国民の認識は益々高まっている。国民が行う口腔保健行動のうち、一番多く実施されているのは、歯磨きであり、最も普及している口腔清掃用具は歯ブラシである。現在、様々なハンドルの形状や植毛部の形態が考案されており、多種類の歯ブラシが市販され、使用する用途に応じて選択する人が多い。さらに、日常的に歯ブラシを携帯する人も増加していることからしても、国民の歯科に対する意識は向上しているといえる。本研究の目的は、使用後の歯ブラシの細菌学的な汚染状況を観察し、さらに毛先の形態と使用者の口腔細菌数との関連を検討することである。被験者は本学に在学している学生12名である。連続10日間使用した2種類の歯ブラシ(平ら型:Aブラシ、2段植毛型:Bブラシ)の毛先に付着している細菌数は、両ブラシともに被験者により違いがみられたものの、いずれも10^8個オーダーの細菌が検出された。Aブラシ、あるいはBブラシの付着細菌数と含嗽後の吐出液中の細菌数については、統計学的に有意差は認められなかった。また、アンケート調査の結果、被験者の歯ブラシ汚染に対する関心は必ずしも高くないことが示唆された。 |